遺言相続

平成30年 相続法改正について

平成30年 相続法改正について

遺留分制度
1. 遺留分減殺請求権の金銭債権化(新民法1046条)
(遺留分侵害額の請求)
新民法第1046条(新設)
遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
2 遺留分侵害額は、第1042条の規定による遺留分から第1号及び第2号に掲げる額を控除し、これに第3号に掲げる額を加算して算定する。
一 遺留分権利者が受けた遺贈又は第903条第1項に規定する贈与の価格
ニ 第900条から第902条まで、第903条及び904条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価格
三 被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、第899条の規定により遺留分権利者が承継する債務(次条第3項において「遺留分権利者承継債務」という。)の額
(1)概要
旧民法 新民法
名称 遺留分減殺請求権 遺留分侵害額請求権
効力 物権的効力 債権的効力
旧民法では、遺留分権利者が受遺者又は受贈者(遺留分義務者)に対して、遺留分減殺請求権を行使した場合には、物権的効力があるとされ、遺留分減殺請求の対象となる目的物それぞれについて、遺留分侵害の割合に応じた権利(共有持分)が遺留分権利者に当然に復帰することとされていました。
そのため、例えば、減殺請求の対象となる目的物が不動産の場合には、遺留分権利者が遺留分減殺請求を行うと、その不動産が遺留分権利者と遺留分義務者との共有状態となり、この共有関係の解消を巡って新たな紛争が生じる等の問題が生じていました。
そこで、今回の改正では、遺留分に関する権利を行使することによって、遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずることとされ、名称も遺留分侵害額請求権と改められました。
(2)施行日
施行日:2019年7月1日
(3)問題点、留意点
新民法施行後、遺留分侵害額請求自体に1年の時効(又は10年の除斥期間)があることに加えて、その行使によって金銭債権が発生することになるため、従前とは異なり、行使後は、債権の消滅時効に配慮する必要があります。
著者 弁護士 関根 こすも
編集 弁護士 三浦 徹也
2. 遺留分算定のための財産の価額に算入する贈与の範囲の変更(新民法1044条)
新民法1044条(新設)
第1037条(新設)
贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したときは、1年前の日よりも前にしたものについても、同様とする。
2 第904条の規定は、前項に規定する贈与の価格について準用する。
3 相続人に対する贈与についての第1項の規定の適用については、同項中「1年」とあるのは「10年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価格に限る。)」とする。
(1)概要
遺留分を算定するための財産の価額は、次の計算により求められます。
このうち、贈与の目的の財産の価額(下線部)は、①相続開始前の1年間にしたもの及び②当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って行った贈与が対象となります。
もっとも、この①について、判例では、相続人に対する贈与が特別受益に該当する場合には、上記①の1年に限らず、時間的制限なく遺留分の算定に加算されることとなっていました。
しかし、何十年も前の贈与であっても遺留分算定の基礎となると、その贈与の存在を知り得ない第三者である受遺者又は受贈者に不測の損害が生じるおそれがあります。
そこで、今回の改正では、相続人に対する贈与について、相続開始前10年間になされた、婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与(特別受益)の価額に限り、遺留分を算定するための財産の価額に算入されることとなりました(相続人以外に対する贈与については、上記①のまま。)。
なお、上記②に該当する場合は、相続人でもその他の者でも時間制限はありません。
(2)施行日、経過規定
施行日:2019年7月1日
(3)問題点、留意点
遺留分侵害額の計算において控除される遺贈又は特別受益との違いに注意する必要があります。
すなわち、遺留分侵害額は、次の計算により求められます。

*個別的遺留分(遺留分を算定するための財産の価額×1/2又は1/3×法定相続分)
このように、遺留分侵害額の計算においては、遺留分権利者が受けた遺贈又は特別受益の額を控除することになりますが、この遺贈又は特別受益については、遺留分を算定するための財産の価額を算定するときに加算される贈与(前記2(1))とは異なり、相続開始前10年間という制約がないことにご注意ください。
著者 弁護士 関根 こすも
編集 弁護士 三浦 徹也
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